株式会社北村サンプル 代表取締役会長
北村 脩
OSAMU KITAMURA
岐阜県出身。1947年(昭和22年)生まれ。
1967年 (有)北村製作所に入社
1989年 (株)北村サンプル代表取締役社長に就任
2017年 同、代表取締役会長 現在に至る
匠の技術で、世界を笑顔に。

私が入社した当時は、ロウ(ロウソク)が主原料の食品模型製作でした。缶詰めの缶を利用して色を溶かしたロウを湯煎で温めながら、寒天で作った型に流し込んでロウ製の食品模型を作ったものでした。天ぷらも溶かした黄色のロウを上からお湯の中に落とし、天ぷらの衣(ころも)の様に固まって行くのを利用しました。仕上げは油絵具で色の吹き付けをして完成です。
その後、飲食店のショーケースに陳列されるロウ製の食品模型は熱に弱い為に、特に西日の当たるお店ではサンプルが溶けてしまう事が起こり、現在の陽に強い塩化ビニール製へと変わって行きました。
そして、長きに渡りビニールサンプルは第一線で活躍してきましたが、時が経つにつれて食品サンプルの需要は減って行き、今では写真入りのメニューが置かれる事の方が多くなりました。
そんな中、食品サンプルを作る企業はそれぞれが独自の路線を歩み出し、当社は2002年頃から食品サンプルの技術を生かしたアイテムや販促商品、ブライダル用のフェイクケーキの制作に領域を拡大。
結果的に、寿司モチーフのキーホルダーやマグネットなどが主力商品として成長しました。
主な卸先は成田や羽田などの空港で、外国人は日本独自の文化である食品サンプルを面白がり好評でしたが、コロナの影響で売上は9割減。これは想像以上に大きな打撃でした。
外国人観光客から人気の高い寿司モチーフのアイテムは、ECでも販売が期待できるのではないか、そしてより多くの人に日本の伝統文化の良さを知ってもらえる機会になるのではないか――。
コロナ禍でインバウンド需要が消滅する中、以前からの構想を今こそ実現し、ピンチをチャンスに変えようとEC販売に一念発起しました。
弊社のアイテムは、本物の寿司ネタから型を取っています。リアリティを重視し、職人が細かい質感や色味を追求した結果、見た人が驚くほどの品質が実現できていると思います。しかし現状に満足せず、これからもたゆまぬ努力を続けていくため、皆様からいただく声にお応えするべく日々改良を重ね、品質の追求に余念はありません。
静岡で製造した食品サンプルの寿司アイテムが国内を初め海外の各家庭にも届き、家族で喜んでいる姿を想像すると、少し不思議な気分であるものの、夢が広がるような想いです。
弊社は、これまで培ってきた食品サンプルの製造技術を生かし、匠の技術で皆様を笑顔にできるよう、今後も世界へと発信してまいります。

